蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



書類をテーブルに置いた絢乃は、封筒の中にまだ何かが入っていることに気が付いた。

それはB4の白い封筒で、封筒の宛名には『秋月絢乃様』と書かれている。


「……え?」


と驚いた絢乃の隣で、沙耶がその封筒を取り上げて中身を取り出した。

中から出てきたのは先ほどと同じような書類だった。

絢乃は横から沙耶の手元を覗き見、文面に目を走らせた。


――――――――――――
平成X年4月XX日
秋月絢乃様

  『通知書』

4月XX日までに下記住所に戻らない場合、民法752条の規定に従い、同居請求権を行使します。

   神奈川県川崎市XX区XXXX
    秋月 慧
――――――――――――


「えっ……」


絢乃はまじまじとその文面を見た。

同居請求って……。


驚く絢乃の横で、沙耶は書面を手にしたまま氷のように固まっている。

その目は大きく見開かれ、書面に釘付けになっている。


と、そのとき。


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