蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



――――10分後。


「あぁ、ダメだね。スカートが短すぎるよ。せめて脛が隠れる長さじゃないと……」

「どれもこんなもんだって! そんな中途半端な長さのスカート、今時ないからっ」

「なにそのヒラヒラしたシャツ!? それじゃちょうちょだよ! どこの男を誘惑するつもりなの、お前!?」

「いや、これはフツーのフリルだから……。ってかちょうちょって……」

「お前にはこういうシャツの方が似合うよ。ほら、着てみて?」

「……ってソレ、詰襟じゃん! どっから持ってきたの、それ!?」


予想していたことではあったが、一筋縄でいくはずがなく……。


20分後。

絢乃は精神疲労のあまりげっそりした顔で試着室を出た。

靴を履く絢乃の視線の先で、いつのまにか慧がレジに向かっている。

絢乃は慌ててその背を追った。


「ちょ、ちょっと待ってよ、慧兄……っ」


と焦る絢乃の前で、店員がにこやかな顔で慧からクレジットカードを受け取る。


「お会計は\262,500となります。一括でよろしいですか?」

「ええ」


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