蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



プルルルと絢乃の携帯が鳴った。

どうやらメールが届いたようだ。

慌てて携帯を開いた絢乃の目に飛び込んできたのは……。


『帰っておいで』


簡潔だが温かい、慧のメール。

……4日ぶりの愛しい人のメール。


絢乃の目にじわりと涙が浮かぶ。

霞んだ視界の中、絢乃はじっと慧のメールを見た。


――――慧に、会いたい。


沙耶は微動だにせずテーブルの前で立ち尽くしている。

その目は澱んだ沼のように虚ろで、何も映していない。


絢乃はすぐにバッグを手に取り、玄関の方へと走って行った……。



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