蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



――――それは、沙耶への最終通告だった。


慧の言葉が何度も胸の中でこだまする。

心のどこかでは気付いていた。

慧の心の中には、誰にも見せない、誰も触れることができない部分があると……。


その部分に触れることができるのは、彼女だけなのだ……。


深い喪失感が沙耶の胸を覆っていく。

いつか再び絆を結べるだろうと呑気に思っていた自分。

けれど慧はこの数年の間に、彼女と深い絆を結んでいたのだ……。


もはや、自分の入る余地などどこにもない。

幸か不幸か、生来の頭の良さで沙耶はそれを直感した。


沙耶の口元に笑みが浮かぶ。

自らの愚かさを自嘲するような、その微笑み……。


「……わかったわ。慧がそこまで言うなら、私はもう何も言うことはないわ」

『……すまない、沙耶』

「いいえ、気付かなかった私が馬鹿だったのよ。……さよなら、慧……」



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