蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



絢乃は慧の瞳に思わず息を飲んだ。

絢乃の視線の先で、慧はくっと瞳を歪めて絢乃の肩に再び手を伸ばした。

……が、その手は寸前で止まった。


慧は憤りを押さえ込むようにぐっと手を拳に握りしめ、絢乃から視線を逸らす。

やがて。


慧が再び絢乃を見た時には、いつもの優しく穏やかな瞳に戻っていた。

慧は柔らかな微笑みを浮かべ、落ち着いた声で言う。


「とりあえず、まずは家に戻ろう。……いいね、アヤ?」

「……う、うん……」


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