蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
3.迸る想い
17:00。
慧に連れられてマンションに戻った絢乃は、入浴と着替えを済ませた後、リビングのソファーに座った。
絢乃の前のテーブルに慧がカタンとコーヒーを置く。
それはいつも絢乃が好んで飲んでいる銘柄のコーヒーだ。
コーヒーにも、手触りの良いマグカップにも……。
絢乃が触れるもの全てに、慧の気持ちが込められている。
結婚してから慧の保護欲は以前より強くなり、絢乃はそれに戸惑いつつも、慧の気持ちを嬉しいと思っていた。
けれど……。
沙耶に言われたことが何度も胸によぎる。
『私なら慧を助けてあげられる。慧の歩む道を、将来を支えてあげられる。……でも、あなたに何ができるの?』
『あなたは慧の従妹でしょう? 従妹とでは、いい子供を残すことはできないわ。せっかくの慧の遺伝子を、あなたは汚すことになるのよ?』