蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



絢乃の目尻から涙が溢れ出す。


慧への気持ちは、もうただの兄に対するものではない。

それはとっくに一人の男性に対する恋情へと変わっている。

けれど自分達は血が繋がった兄妹だ。


沙耶が手にしたものを、自分は手にすることができないのだ……。


残酷な現実が容赦なく絢乃の心を押し潰す。

胸にこみ上げる痛みに、絢乃は喉を震わせた。

その瞬間。


「……っ、ぁ……っ」


慧の唇が再び絢乃の唇に触れた。

先ほどとは違う、優しく情熱的な口づけに絢乃の鼓動が高鳴る。


「『でも』、……何?」

「……慧兄……っ」

「言っとくけど、……お前がおれを好きなら、おれはもう遠慮しない。お前が何を理由にしても、おれから離れられないようにするから」

「……っ」


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