蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
慧の言葉が絢乃の胸を熱く抉っていく。
熱でじわりと溶けた心に、慧の囁きが優しく響く。
慧は絢乃を至近距離で見下ろし、愛おしむように頬を優しく撫でた。
「ね、アヤ。……彼女に何て言われたの?」
「……っ……」
「いくら素直なお前でも、何もなく彼女について行くわけがない。脅されたんじゃないの? 違う?」
慧の言葉に絢乃はコクリと喉を鳴らした。
慧はやはり自分のことについては何でもお見通しだ。
絢乃はすんと鼻を鳴らし、頷いた。
「あの人に、私達のことを調べるって言われて……」
「…………」
「私達のことを調べられたら、兄妹だってバレちゃうかもしれない。そうなったら、慧兄の傍にいれなくなる……」
言いながら、絢乃の胸に切ない痛みが広がっていく。
あの時の気持ちが痛みとともに絢乃の胸に蘇る。