蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
4.罪の獄舎
傾きかけた日の光がカーテンの隙間から部屋に差し込む。
橙色に染まるシーツの上で、二人の肌が絡まり合う。
春の夕陽に染まった部屋は暖かく、まるでぬるま湯の中にいるようだ。
「……ンっ、……あ……」
優しい手が絢乃の首筋や肩、腰の窪みを撫でていく。
まるで絹に触れるような、愛おしむような動きに絢乃の喉から自然と声が上がる。
「あぁっ、……慧に……っ」
「安心して。お前が嫌がることはしないから」
その囁きに込められた深い愛情に、絢乃は胸を震わせた。
――――どこまでも優しい慧。
慧の優しさはいつしか絢乃の心を空気のように包み込み、今はもう、慧の傍に居ないと息の仕方すら忘れてしまう。
慧がくれる優しさや愛情はまるで陽だまりのように、絢乃の心を温かく照らしてくれた。