蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
温かい気持ちが胸の奥底から溢れ出す。
絢乃は慧の腕に縋るようにしがみ付いた。
「……ね、慧兄はどうしてそんなに優しいの?」
「アヤ……?」
「私は慧兄のために何もしてないのに……。慧兄の足を引っ張るばかりで、今回のことだって……」
今回の件も、自分がもっとしっかりしていればこんなことにならずに済んだだろう。
絢乃は瞳を伏せ、唇を軽く噛んだ。
慧はそんな絢乃をしばし見つめた後、その瞳にふっと悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「……そうだね?」
「っ、慧兄……」
「お前はおれに借りがある。だから逃げようとか離れようなんて考えちゃダメだ。この借りは一生かけて返してもらうよ?」
甘い囁きが絢乃の耳をくすぐる。
頬を染めた絢乃の腰に慧の腕が回り、ぐいと抱き寄せられる。
やがて絢乃の唇に、慧の形の良い唇が触れた。