蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
「私も出すよ。私だって働いてるわけだし……」
と絢乃が言うと。
慧はうーんと首を捻った後、何かを思いついたように絢乃を見た。
「じゃあアヤはレジャー担当ってことで。来週出るメタルギアを買っておいてくれる?」
「……え、それでいいの?」
絢乃は思わず声を上げた。
メタルギアはPS3のゲームソフトで、絢乃も発売が決まった時から買うつもりでいた。
しかしソフトはどんなに高くても一万もしない。
黙り込んだ絢乃の視線の先で、慧が女性店員からスーツの入った袋を受け取っている。
店員は慧の美貌を頬を赤らめて見つめながら、ちらりと慧の左手を見る。
その手に指輪があると見た瞬間、一瞬残念そうな顔をしたが、すぐに笑顔に切り替えた。
「ありがとうございました~!」
店員の声がフロアに響く。
絢乃は慧に手を引かれ、エスカレーターの方へと歩き出した……。