蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



口づけは次第に熱く激しくなり、絢乃の心にあった不安を溶かしていく。

舌先を食まれ、歯茎をなぞるように舐められ、舌を吸われて……

唇の間から、甘い蜜が透明な糸を引いて流れ落ちる。


「……もう引き返すなんて無理だ。たとえ血が繋がっててもね」

「慧兄……っ」

「誰に赦されなくてもいい。これが罪だというなら、おれは一生罰を受けるよ」


慧の言葉が絢乃の胸を甘く抉っていく。

……二人で犯した、秘密の罪。

その甘さを一度知ってしまったら逃げることはできない。

背徳感に戦きながら、それでも手を伸ばさずにはいられない――――。


あの夜二人で点けた火は、いつしか互いの心の中で大きな炎となっていた。

もう、この罪の獄舎から抜け出すことはできない。

業火に身を灼かれ、この世の全てに背を向けても……。

繋いだこの手だけは、永遠に離すことはない。


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