蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
「いいよ。私も慧兄の傍にいたい……」
「……おれ、お前を閉じ込めるかもしれないよ? 嫌って言っても出してあげない。それでもいいの?」
「……うん」
絢乃は柔らかい笑顔で微笑んだ。
夢見るようなその微笑みに、慧の魂は一撃で天上まで吹き飛ばされた。
絢乃は普通の精神状態ではないと、わかっていても……。
だからこそ、絢乃の心の奥底にあるものが素直に表れているとも言える。
縋るような黒い瞳に、吸い寄せられるように目が離せない。
「ね、アヤ。……アヤはおれのこと、好きだよね?」
「……うん……」
「じゃあ、キスしてくれる?」
と、慧が言うと。
絢乃はぼうっと慧を見上げた後、こくりと頷いた。
そっと手を伸ばし、慧の後頭部を抱き寄せて唇を重ねる。
「……っ!」