蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
6.甘美な絆
優しいウッドノートの香りが全身を包み込む。
まるで全身を毛布で包まれているかのような温かさの中、絢乃はそっと目を開いた。
枕元の時計を見ると、03:30。
いつ降り出したのだろうか、ポツポツと雨粒が窓ガラスに当たる音がする。
「……起きたの、アヤ?」
すぐ頭上から掛けられた声に、絢乃ははっと息を飲んだ。
見ると。
満面の笑みを浮かべた慧が至近距離からじっと絢乃を見下ろしている。
その顔はいつになく朗らかで、機嫌がいいことは一目瞭然だ。
「…………」
絢乃はそのあまりの笑顔に、ここに来てからのことをはっと思いだした。
あまり覚えてはいないが、なんかとんでもないことを言った気がする。
と青ざめた絢乃の体を、慧がぎゅっと抱きしめた。