蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~


「……っ!?」

「あ~、ホントに可愛かった。お前の一言一句、全て録音しておきたいくらいだよ」

「……慧兄、お願いだからやめて、それだけは」


と唖然と呟いた絢乃の前で。

慧はすっとその顔から笑みを消した。

真剣な目でじっと絢乃を見つめ、その形の良い唇を開く。


「ね、アヤ。……言って? 一体何があったのか」

「っ、慧兄……」

「おれもだいたいの想像はついてるけど……。お前の言葉で聞かないと、安心できない」


慧の真摯な瞳が絢乃の心に触れる。

その瞳に満ちる優しさが、絢乃の心のこわばりを解いていく。


絢乃は頷き、この四日間のことと、沙耶に言われたことを慧に話した……。



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