蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
慧は切なげな声で言う。
絢乃はその声に胸を打たれ、慧を見た。
確かにあの時、慧は旅行に異様に乗り気だった。
そんな理由があったのかと今更ながらにしんみりとなる。
「あと、夜が明けるまでってやつだけど。おれは彼女の家に泊まったことはない。家でお前が待ってると思うと、どうしてもそんな気になれなくてね」
「慧兄……」
「それに、一晩で何十回もやったら、普通死ぬから」
「………………」
絢乃はぴしりと凍りついた。
絢乃は男性の生理についてはあまり詳しくない。
が、改めて言われるとそんな気がする。
凍りついた絢乃を、慧の瞳が心配そうに見る。
優しさと気遣いに満ちたその瞳に、絢乃の心がゆっくりと解けていく。
「彼女は女優だ。お前が騙されたのも無理はないよ」
「……う……」
「でもね、アヤ……」