蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
まだ納得はできないが、理屈は理解できたような気がする。
目を白黒させる絢乃を、慧はそっと抱き寄せた。
「……だからね、アヤ。何も諦める必要はないよ? おれたちは法律上は普通の夫婦だ、他の夫婦と同じように幸せになる権利がある」
「……慧兄……」
「おれの子を生むのはお前だけで、お前が生むのはおれの子だけだ。……他の人間が間に入ることはないよ、永遠にね?」
慧の言葉は絢乃の心にあった躊躇いや不安を溶かしていく。
胸に溢れる熱い気持ちに、絢乃は目を潤ませた。
今思えば……。
自分は妹だからこそ、慧とこの関係を築けたのかもしれない。
慧が他のどの女とも結び得ることのない、『罪』によって結ばれた絆。
罪深い、けれどこの上なく甘美な絆……。
慧の気持ちを嬉しいと思う自分は地獄に堕ちるのかもしれない。
絢乃はすんと鼻を鳴らし、微かに笑った。