蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
絢乃がベッドの脇に立つと、慧は眼鏡を外してサイドボードに置いた。
その手で絢乃の腰を抱き、そっと自分の方へと引き寄せる。
絢乃がベッドに片膝をつくと、慧は腰に回した腕にぐっと力を込めた。
そのまま抱き寄せられ、慧の横に仰向けになる。
「……っ!」
絢乃の長い黒髪がシーツにさらっと散る。
息を飲んだ絢乃を慧は優しい瞳で見下ろした。
その瞳は次第に近づき、目前で長い睫毛がそっと伏せられる。
唇に触れた感触に絢乃は息を飲んだ。
慧の唇は何度も優しく啄むように絢乃の唇に触れる。
その温かさに絢乃の体のこわばりが解けていく。
――――数分後。
絢乃の耳に優しい囁きが忍び込んできた。
「今日は遅いからもう寝よう? ……おやすみ、アヤ」
その言葉に、絢乃は内心でほっと胸を撫で下ろした。
安堵はそのまま眠気となり、瞼が次第に重くなる。
絢乃は慧の温かさを感じながら、そっと目を閉じた……。