蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
卓海の声がみるみるうちに小さくなっていく。
それと比例し、いつもの鬼の顔からしだいに血の気が引いていく。
兄が何を言ったのかはわからないが、どうやら卓海は納得したらしい。
やがて卓海は肩をすくめ、絢乃に向き直った。
『……わかった。これは捺印して部長に出しておく』
『……え?』
『ちゃんと出すから心配するな。……ほら、行け』
卓海はため息交じりにひらひらと手を振る。
絢乃は首を傾げながら、個室を出た……。