蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
あの事実を知った日から、絢乃の体は慧を無意識のうちに拒むようになっていた。
……怖れと、不安。
子供ができたらどうしようという恐れと、子供を作れない自分を慧がいつまで愛してくれるだろうかという、不安。
その二つが心の中で混ざり合い、絢乃はこの一週間、ずっと悩んでいた。
恐らく慧は自分が悩んでいることに気付いているだろう。
絢乃が望めば、子供がいなくても一生愛すると言ってくれるだろう。
けれど……。
絢乃はこの間、スーツを買った時の店員の態度を思い出した。
慧はあのルックスで、しかもあの頭脳だ。
慧が女性に人気があることは絢乃も昔から分かっていた。
そんな慧を、子供を残せない自分が、一生束縛していいのだろうか?
そう思うのは、自分に自信がないせいかもしれない。
不感症で男性経験もほとんどなかった自分。
こんな面倒くさい自分を、慧はいつも根気よく情熱的に愛してくれた。
慧の愛情に自分も応えたいと思う。
けれどどうしても、体が開かない……。