蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



絢乃はコーヒーカップをカタンとソーサーに置いた。

その左手の薬指には銀色の指輪が光っている。

絢乃の右隣に座った慧の指にも、同じ指輪が輝いている。


初枝は二人の顔を見、ふむと口を開いた。


「そう言えばお前達、式はいつ、どこでするんだい?」


初枝の言葉に絢乃は内心で息を飲んだ。

言葉を詰まらせた絢乃の横で、すかさず慧が口を開く。


「まだ詳しいことは決めてないけど、来月か再来月あたりかな。場所は今、調べてるところ」

「時世や藤村さんは呼ぶのかい?」


初枝の言葉に絢乃は背筋を凍らせた。

時世と藤村は絢乃の両親だ。

二人は絢乃が小学校の頃に離婚し、今は仕事の都合でそれぞれ海外で別々に暮らしている。

普通であれば結婚式に両親を呼ぶのは当たり前だろう。

しかし。


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