蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
「あぁ、それなんだけどね。母さんも父さんも仕事で忙しくて日本に戻れそうにないから、後で写真だけ送ってくれって言ってた」
慧はにこりと笑って言う。
無言の絢乃の向かいで、初枝はそうかいと頷いた。
「まあ、二人がそれでいいって言ってるなら、わざわざ日本に来てもらうこともないね。となると、出席するのはあたしだけかい?」
「そうなるね。3人だから小さな式場で充分かなって思ってる。また詳しいことが決まったら連絡するよ」
慧の言葉に、絢乃は内心でほっと胸を撫で下ろした。
……とりあえず初枝に疑いを抱かせずに済んだ。
今となっては両親が不在がちだったことがむしろありがたい。
―――― 一時間後。
上野駅で祖母と別れた二人は、そのまま駅の近くにある携帯ショップへ向かった。
これまでは別々で契約していた携帯を『家族』扱いに変更するためだ。
「……続柄、『妻』、と」