蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
――――かくして。
その夜、絢乃の予想は当たることとなった。
「はぁ!? あいつと一泊で箱根旅行!?」
「……いや、研修だから。講師だから。仕事だから」
「何考えてるのお前!? あいつと箱根なんて、三途の川にラフティングに行くようなもんだよ!?」
「……言いたいことはわかるけど、そんなに悲壮なもんじゃ……」
「しかもあいつの車で行くって……。あいつと密室なんかにいたら、お前、1分もしないうちに脳が腐ってスライムになるよ!?」
「……別に加納さんの車は腐海ってワケじゃ……」
予想通りの慧の反応に絢乃は頭を抱え込んだ。
予想はしていたが、説得するのはかなり厳しそうだ。
思わず後ずさった絢乃に、慧はじりっと一歩近寄った。
頬を歪め、ニコリと笑う。
異様なまでに爛々と輝くその瞳に、絢乃はなぜか寒いものを感じた。