蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
2.真剣な狂気
「――――おい」
「……………………」
「おい! 返事くらいしろっ」
――――15分後。
デュアリスの後部座席で、絢乃は俯き唇を噛みしめていた。
あれからすぐに卓海が到着し、車に乗ったものの……。
絢乃の頭は先ほどの沙耶とのことで占められ、はっきり言って研修どころではない。
何も言わない絢乃に、卓海はチッと舌打ちした。
デュアリスはいつのまにか東名に乗り、名古屋方面へと走り出す。
「あいつ、そんなに怒ってたのかよ? 説得できなかったのか?」
「……いえ、その……」
「マジで刺される心配したほうがいいってか? いくら溺愛って言っても程があるだろーが……」
呆れたように卓海は呟く。
違うと言いかけた絢乃だったが、そのまま言葉を飲みこんだ。
――――沙耶の言葉が、脳裏から離れない。