蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
考えてみれば、慧は昔から自分のためにいろいろ尽くしてくれたけれど、逆はほとんどない。
むしろ慧に迷惑ばかりかけてきた。
慧が官僚の道を選ばなかったのも、自分のせいだ。
『私なら慧を助けてあげられる。慧の歩む道を、将来を支えてあげられる。……でも、あなたに何ができるの?』
絢乃はぐっと目を瞑った。
慧にとって自分はお荷物でしかない。
けれど、それでも……。
――――慧の傍を、離れたくない。
慧を誰にも渡したくない。
慧の一番傍にいるのは自分でありたい。
子供が産めなくても、こんなに情けない自分でも……。
絶対に、慧と離れたくない……。