蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



心の底から熱い想いが溢れ出る。

これまでにない強い欲望が胸の奥から込み上げる。

絢乃はぎりっと唇を噛みしめた。


――――慧が自分から離れないようにするには、どうすればいいのか?


これまで感じたことのなかった黒い気持ちが胸に広がっていく。


慧の気持ちの全てを自分のものにしたい。

一片たりとも、他の女にはあげたくない……。


慧は、兄だ。

兄に対してこんな気持ちを抱く自分は狂っているのかもしれない。

けれどこんなに真剣に狂ったことが、これまであっただろうか?


独占欲と嫉妬が炎のように胸に渦巻く。

絢乃は初めての激情に、自分の心が黒く灼かれていくのを感じていた……。



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