蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
<side.沙耶>
――――絢乃と別れた後。
沙耶は駅の裏に待たせておいたタクシーに乗り込んだ。
ばさっと髪をかき上げ、サングラスを取る。
「新宿までお願い」
「わかりました」
メーターが倒され、かすかなエンジン音と共にタクシーが走り出す。
沙耶は先ほどの絢乃の姿を思い出した。
「……我ながら、よく言うわね……」
沙耶は自嘲するように呟いた。
沙耶にとってはあれしきの演技は朝飯前だ。
まさかこんなところで自身の能力を使うことになるとは思ってもみなかったが……。