蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
その日の夜。
21:00。
絢乃は研修会場の一角にある食堂で新入社員達と話をしていた。
研修期間中は新入社員同士の絆を深めるという目的で、夜は懇親会という名の飲み会が開催される。
懇親会の主催は総務部だが、絢乃や卓海も社員ということで強制的に参加させられることとなった。
「……でね、オレの彼女が言うワケですよ。少なくとも三回はしろって」
「一晩で三回~!? 学生で真昼間っからヤるならともなく、仕事の後にそれはキツすぎっしょ!」
「だよなー! だから言ってやったんだよ、そんなにシたいなら歌舞伎町にでも行けって。そしたらアイツ、マジで行きやがって……」
「はーっ!?」
男子社員達が笑い転げる。
絢乃はビールのグラスを手に無言でその様子を眺めていた。
大学を出たばかりの男子社員達の頭の中は、大概こんなものだ。
これが部の飲み会なら上司がある程度締めを効かせるのだろうが、今日は新入社員の懇親会なので仕方がない。
絢乃は彼らの若すぎる会話にげっそりしながらも、愛想笑いを浮かべてビールを傾けた。