蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
18:30。
研修は無事終了し、絢乃は卓海のデュアリスの後部座席にいた。
時間帯のせいか東名高速は車が多いが、渋滞するほどでもない。
絢乃は流れゆく車を眺めながら、昨日のことについて考えていた。
沙耶は恐らく、これからも自分に接触してくるだろう。
彼女が慧のことを諦めてないのは明白だ。
しかし自分ももう、後へ引くわけにはいかない。
……慧の妻は、自分だ。
自分以外の誰にも、この座を渡したくない……。
子供が産めないのにこんな風に思う自分は貪欲なのかもしれない。
でもどうしても、慧を他の人に渡したくない……。
「……慧兄……」
これまでは、ただ慧が大事だと思ってきた。
けれど今、絢乃の心にははっきりとした気持ちがある。
独占欲と、嫉妬。
それはこれまで、他の誰にも感じたことのない気持ちだ。