蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
絢乃の胸に切ない痛みが広がる。
――――きっとこれを、恋と言うのだろう……。
この歳になって、しかも結婚してから恋をすることになるなんて……。
本末転倒な気もしなくもない。
けれど今は、慧のこと以外考えられない。
例え、実の兄でも……。
誰に許されなくても……。
……慧さえ傍に居てくれれば、それでいい……。
絢乃は鞄から携帯を取り出した。
慧にメールを入れておこう……。
と思った、その時。
運転席の方からプルルルと携帯が鳴る音がした。
どうやら卓海の携帯が鳴っているようだ。
顔を上げた絢乃に、卓海は助手席の上に置いてあった携帯をぽんと手渡した。