蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



絢乃の胸に切ない痛みが広がる。

――――きっとこれを、恋と言うのだろう……。


この歳になって、しかも結婚してから恋をすることになるなんて……。

本末転倒な気もしなくもない。

けれど今は、慧のこと以外考えられない。


例え、実の兄でも……。

誰に許されなくても……。

……慧さえ傍に居てくれれば、それでいい……。


絢乃は鞄から携帯を取り出した。

慧にメールを入れておこう……。

と思った、その時。


運転席の方からプルルルと携帯が鳴る音がした。

どうやら卓海の携帯が鳴っているようだ。

顔を上げた絢乃に、卓海は助手席の上に置いてあった携帯をぽんと手渡した。



< 76 / 179 >

この作品をシェア

pagetop