蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



障害の原因は簡単に言うと、登録ミスだ。

4月から新しく入った商品が商品マスタにちゃんと登録されておらず、それが原因で在庫数が狂ってしまった。

商品は物によって単品管理するものとロット管理するものに分けられる。

例えば文房具で言うと、ボールペンは「1本100円」と管理するが、鉛筆は「1ダース100円」と管理する。

それが「鉛筆1本100円」と間違って登録してしまうと、システム上の在庫と実際の在庫が合わなくなる。


商品マスタ上だけの問題ならこれだけ修正すれば良いのだが、あいにくこのデータは既に在庫計算などの他の処理で使われていた。

なので商品マスタを直した後、それらの処理をもう一度行わなければならない。


必死にデータを打ち込む絢乃の前方で、卓海が黒杉を自席へと呼んだ。


「黒杉、夜間バッチは? 基幹系は何時から流れる予定?」

「とりあえず24時までの分は止めました。手動でやるんで時間がかかるかもしれません。基幹系は03:00からですが、間に合いそうになければ止めます」

「了解。橋本、インタフェースの時間を確認しておいてくれ」

「わかりました!」



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