蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



慧の言葉に絢乃は思わず瞠目した。

口止めしてある、って……。

驚く絢乃に、慧はくすりと悪戯っぽく笑って言う。


「父さんからあのことが母さん達に伝わることはないよ。そこは心配しないで?」

「でも、それって……っ」


絢乃の顔から血の気が引いていく。

父に口止めした、って……。


――――慧は自分に関わることに関しては、例え誰が相手でも容赦はしない。


戦く絢乃に、慧はくすりと笑った。

絢乃の頬をそっと撫で、安心させるように言う。


「おれは戸籍上はあくまでお前の従兄だ。例え父さんが認知しようとしてきても、成人した子の認知には本人の承諾が必要になる」

「……っ……」

「つまりおれが認知に同意しなければ、おれはあくまでお前の『従兄』だ。もちろんおれは認知に同意するつもりはない。だから一生、お前の『兄』になることはないよ?」



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