蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
22:15。
一通りのデータ修正を終えた絢乃は、コキコキと肩を回した。
あとはバッチが動いた後、結果を確認するだけだ。
といっても結果が出るまでかなり時間がかかるため、しばらく待たねばならない。
お腹空いたから今のうちに夕飯でも調達してこようか……。
と廊下に出た絢乃の目に卓海の姿が映った。
卓海は微かに疲れの混ざった顔で絢乃を見、歩み寄ってきた。
「……終わったか?」
「ええ。とりあえず待ち状態です」
「そうか。じゃあメシにでも行くか」
卓海の言葉に絢乃は片眉を上げた。
メシって……。
驚く絢乃に卓海はため息交じりに言う。
「お前に残業させといてロクなメシも食わせなかったとなれば、オレはあいつに殺されちまう」
「………………」
「オレも命が惜しいんでな。とにかく、行くぞ」
それは課長命令ですか?
と一瞬聞きそうになったが、絢乃のお腹も既に極限状態だ。
絢乃は素直に頷き、卓海に続いてフロアを出た。