蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
6.禁断の果実
<side.慧>
夜半過ぎ。
慧はリビングのソファーで雑誌に目を通していた。
ページをめくる手を止め、ちらりと時計を見る。
22:45。
慧はため息をつき、片手で目元を覆った。
――――集中できない。
夕方、絢乃から緊急障害で遅くなるとメールがあった。
絢乃の仕事は社内情報システムの管理だ。
障害となれば徹夜になるのも珍しいことではない。
慧は雑誌をバサッと閉じ、立ち上がった。
ジーンズのポケットに入れた携帯を取り出し、開く。
絢乃の番号を表示し、通話ボタンを押しかけたところで――――慧はその手を止めた。
「……っ……」