蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
唇を噛みしめ、パタンと閉じる。
絢乃は今、障害対応で忙しいはずだ。
自分がその邪魔をするわけにはいかない……。
絢乃と別れたのは昨日の昼だ。
まだ一日半しか経っていないのに、かなりの時間が経ったように思える。
慧は軽く首を振り、どさっとソファーに腰を下ろした。
――――絢乃も、こんな気持ちだったのだろうか……。
去年の年末、慧は絢乃から離れるため三週間ほどホテル住まいをしていた。
あの時は絢乃がここで慧を待っていた。
今とは逆の状況だ。
自分を信頼していた絢乃を一人ここに残し、逃げ……。
けれど結局恋情は抑えきれず、そして……。
「……っ、アヤ……」