蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
自分が絢乃をどれだけ傷つけたのか、今になってわかる。
絢乃がどれだけ悩み、苦しんだか……。
あれほど大事にしてきた絢乃を、自分は欲望のままに傷つけてしまった。
絢乃の心のひずみを思うと、慧の心に深い後悔が広がる。
それでも……。
一度ついてしまった火は、もう消えはしない。
絢乃が実の妹であっても……。
思えば、妹だと知ったからこそなのかもしれない。
誰にも知られてはならない秘密の罪を二人で犯したのだと知った瞬間、慧の心からすっと迷いが消えた。
自分と絢乃は誰にも言えぬ罪を抱えた。
そう、自分と絢乃だけがこの罪の味を知っているのだ……。
――――それはまさに、禁断の果実だ。
棘があると知っても、毒があると知っても、一度この甘さを味わってしまったら二度と手放すことはできない。
一度本物を知ってしまったら、紛い物では満足できなくなるように……。
一度この感情を知ってしまったら、他のものでは満たされなくなってしまう。