蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



卓海はそもそも女嫌いなので友人の女に手を出すようなことはこれまでなかったが、卓海が絢乃を特別視していたことは明らかだ。

でなければ期間限定とはいえ『自分の女』になどするはずがない。


絢乃はもう自分の妻なのに……。

――――確かなものなど、何ひとつない……。


自分が段階をすっ飛ばしたのが原因なのだとわかってはいる。

けれど絢乃の隣に立つ卓海の姿を想像すると、焦りばかりが胸に広がる。


と、そのとき。


プルルルと携帯が鳴った。

通話ボタンを押した慧の耳に飛び込んできたのは……。


『……あ、慧兄。起きてた?』


誰よりも愛おしい女の声。

慧は絢乃の声に、自分の心の強張りが解けていくのを感じていた……。



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