蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~



有無を言わせぬ口調で沙耶は言う。

その瞳に宿る光は鋭く、刃物のように絢乃の心を抉る。


絢乃は必死で沙耶を見据えた。

……呑まれるわけには、いかない。

絢乃はすぐに口を開いた。


「すみません。今日は急ぎの用事があるので……」

「あら、そう? それって私の用事と比べて重要なのかしら?」


沙耶は言いながら、スーツの内ポケットから何かを取り出した。

すっと差し出されたそれは……。


「――――っ!!?」


絢乃は目を見開いた。

――――それは、絢乃と卓海が一緒に映っている写真だった。

撮られたのは夜で、しかもなぜかバックに派手なネオンが映っている。

それはどこからどう見ても『色街を歩く二人』だ。



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