蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
絢乃は青ざめた。
卓海とこんな所に行った覚えなどない。
戦く絢乃に、沙耶は続ける。
「なかなかやるわよね、あなたも。新婚一か月にして浮気。慧が知ったらどう思うかしらね?」
「…………っ」
絢乃はぶるっと肩を震わせた。
こんな所に行った覚えなどない――――恐らく、誰かが悪意で合成したのだろう。
それに、卓海は慧の友人だ。
絢乃は沙耶を見上げ、叫ぶように言った。
「……っ、この人は慧兄の友達です! こんな写真を見せたところで、慧兄が騙されるはずがありません!」
「あら、そう?」
沙耶はくすりと笑い、さっと写真を引っ込めた。
え?と思う絢乃の視線の先で、沙耶は唇を歪めて嫣然と笑う。
その瞳によぎる憎悪に、絢乃は背筋が凍る気がした。