蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
それだけは、嫌だ。
どんなに辛くても、苦しくても……
慧と離れることだけは、耐えられない……。
押し黙った絢乃を沙耶の瞳がじっと見つめる。
やがて沙耶は勝ち誇ったように絢乃を見た。
「あら……。どうやら後ろめたいことがあるようね?」
「……っ!」
「ゆっくり話した方がよさそうね? ……じゃあ一緒に来てもらおうかしら。いいわね、『妹』さん?」
沙耶は言い、絢乃の二の腕を掴んだ。
そのままスタスタと大通りに出、通りかかったタクシーを止める。
沙耶はその後部座席に突き飛ばすように絢乃を押し込め、自身もその隣に乗った。
「目黒までお願い」
沙耶の指示と共にタクシーが動き出す。
絢乃はなすすべもなく、沙耶の整った横顔を見つめていた……。