蜜愛シンドローム ~ Trap of Kei 2 ~
2.夫の権利
<side.沙耶>
寝室の方から狂ったようにドアが叩かれる音がする。
沙耶はひとつ息をつき、ダイニングテーブルに絢乃のバッグを置いた。
バッグを探り、中から携帯を取り出す。
沙耶はピピッといくつかボタンを押し、『送信フォルダ』に入っているメールを何個かチェックした。
メールをいくつか見れば、だいたいの文面のクセはわかるものだ。
沙耶は絢乃の文面をチェックした後、手早くメールを打ち込んだ。
送り先は、慧だ。
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今日も仕事が多くて、残業になりそうなので近くの友達の家に泊まります。
明日、また帰る時に連絡するね。
絢乃
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沙耶は文面を確認し、ピッと送信ボタンを押した。
『Eメールを送信しました』の表示を確認した後、パタンと携帯を閉じる。