センセイに、恋
#0

prologue


春。


桜も緑を付け始める頃、

晴れて高校に入学した。


着慣れないセーラー服と

切ったばかりのぱっつん前髪を気にしながら、

ふと、先生の事を思い出したのは

桜の木を見たからだろうか。


それとも、真新しい制服で

中学に入学したあの日が今とリンクしたから?


馬鹿みたい。

私立高校の綺麗な庭の桜を見ながら、

この前まで過ごしてきたボロボロの母校を思い出す。


先生は今頃、あの決して綺麗とは言えない

あの学校で新入生相手に頑張っているのだろう。

そう、3年前、私たちを迎えた時みたいに。


ざあっと風が吹いて散り始めた桜の花びらが舞って、

目の前をピンク色に染めた。


ああ、3年前の今日もこんな日だったな。

そんな事を考えながら目を閉じたら

聞き慣れた先生の声が聞こえた気がした。

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