【短】『さよなら』と言えたら、苦しくないのに。
お色直しのために、一度退場したお兄ちゃん達を見送って。
あたしは、運ばれてくる食事に箸をつけた。
だけど、胸がいっぱいで、全然喉を通っていかない。
あたしは、今日、一つ決意をしている。
この披露宴が終わったら……
お兄ちゃんを忘れようって。
本当に大好きで。
いつだってあたしは、お兄ちゃんの背中を追いかけてた。
あたしのこと、「なな」って呼んでくれると嬉しくて。
「ななか」って名前が、特別に思えた。
ううん、名前だけじゃない。
お兄ちゃんがあたしにしてくれることは、いつでも全部、特別だった。
でも。
どんなに好きでも、想っても。
あたしの気持ちは、叶わないんだ。
あたしがお兄ちゃんの隣に立てる日なんて、一生こない。
あたし達は、兄妹だから。
だから……
諦めようって、諦めなきゃいけないって思ったの。
今日は、あたしがお兄ちゃんを好きでいる、最後の日。
お兄ちゃんをこんな風に想えるのは、今だけ……
あたしは、運ばれてくる食事に箸をつけた。
だけど、胸がいっぱいで、全然喉を通っていかない。
あたしは、今日、一つ決意をしている。
この披露宴が終わったら……
お兄ちゃんを忘れようって。
本当に大好きで。
いつだってあたしは、お兄ちゃんの背中を追いかけてた。
あたしのこと、「なな」って呼んでくれると嬉しくて。
「ななか」って名前が、特別に思えた。
ううん、名前だけじゃない。
お兄ちゃんがあたしにしてくれることは、いつでも全部、特別だった。
でも。
どんなに好きでも、想っても。
あたしの気持ちは、叶わないんだ。
あたしがお兄ちゃんの隣に立てる日なんて、一生こない。
あたし達は、兄妹だから。
だから……
諦めようって、諦めなきゃいけないって思ったの。
今日は、あたしがお兄ちゃんを好きでいる、最後の日。
お兄ちゃんをこんな風に想えるのは、今だけ……