【短】『さよなら』と言えたら、苦しくないのに。
SIDE 七華
「――新郎新婦、入場」


司会者の言葉と一緒に、すぐ近くの大きな扉が開かれた。

眩しいライトに照らされて浮かび上がった、二人のシルエット。


BGMが流れて、ゆっくりと歩き出す。


いつもよりも、少しだけ緊張した顔のお兄ちゃんと。

隣にいるキレイなお嫁さん。


盛大な拍手の中、一歩ずつ、一歩ずつ進んでいく。


カメラのフラッシュが何度も光って、


「おめでとう!」

「幸せにれよ!」


そんな言葉が、会場中に響いた。



照れながら微笑む、お兄ちゃん。


袴、すごく似合ってるよ。


いつもカッコイイけど。

今日は、もっともっとカッコイイよ。



ねぇ、お兄ちゃん。


絶対、幸せになってね?

お兄ちゃんは、あたしの一番大切な人だから。


あたしの、大好きな人だから。


きっと、幸せになってね……

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