【短】『さよなら』と言えたら、苦しくないのに。
* * * * *
「辛くないか?」
「……だいじょうぶ、だよ……」
心配をかけないように、と平気なフリをする妹。
だけど、大丈夫なわけがない。
こんなに真っ赤な顔で、苦しそうに呼吸して。
流行風邪に倒れたななは、今日を含めて3日も寝込んでいた。
「熱、まだ高いな……」
「下がったよぉ……」
「またぶり返すかもしれないだろ」
「も…お兄ちゃん……心配性」
「心配もするよ。そろそろアイスノン溶けてきただろ?新しいの持ってくる」
立ち上がろうとした瞬間。
ななが、俺の服のすそを掴んだ。
「……いか、ないで……」
「なな?」
「眠るまで…一緒にいて……」
「分かった。じゃ、目閉じな?」
言葉通り、ななが素直にまぶたを降ろす。
ふとんを掴んでいるななの手を、俺はそっと握った。
「お兄ちゃんの手……冷たくって、気持ちいい」
「ななが熱いからだろ?」
クスクスと笑って、ななは「そっかぁ」と呟いた。
「お兄ちゃん、一個だけわがまま、聞いて……眠るまで…そばにいて……ね」
「辛くないか?」
「……だいじょうぶ、だよ……」
心配をかけないように、と平気なフリをする妹。
だけど、大丈夫なわけがない。
こんなに真っ赤な顔で、苦しそうに呼吸して。
流行風邪に倒れたななは、今日を含めて3日も寝込んでいた。
「熱、まだ高いな……」
「下がったよぉ……」
「またぶり返すかもしれないだろ」
「も…お兄ちゃん……心配性」
「心配もするよ。そろそろアイスノン溶けてきただろ?新しいの持ってくる」
立ち上がろうとした瞬間。
ななが、俺の服のすそを掴んだ。
「……いか、ないで……」
「なな?」
「眠るまで…一緒にいて……」
「分かった。じゃ、目閉じな?」
言葉通り、ななが素直にまぶたを降ろす。
ふとんを掴んでいるななの手を、俺はそっと握った。
「お兄ちゃんの手……冷たくって、気持ちいい」
「ななが熱いからだろ?」
クスクスと笑って、ななは「そっかぁ」と呟いた。
「お兄ちゃん、一個だけわがまま、聞いて……眠るまで…そばにいて……ね」