【短】『さよなら』と言えたら、苦しくないのに。
ななを好きになれて良かった。

本当に思ってる。


キスも、抱き合うことも。

そんな、普通の恋人が当たり前にできるようなことが、俺達は出来なかったけど。


お前を好きになって、俺は幸せだったよ。



なぁ、なな。


俺は、お前にウェディングドレスは着せてやれない。

小さい頃の、あの口約束は守れないんだ。


だけど、愛しているのはたった一人。

ななだけだよ。


それは、これから先もずっと変わることはない。


たとえ、ななが、新しい人生を生きて、俺のことを忘れ。

新しい恋をしたとしても。


俺の一番大切な人は、お前だよ。

お前だけだ。



近い将来、お前が新しい恋を見つける時。

結婚して、俺の手から離れる時。


お前が今日味わった苦しみ以上のものを、俺も味わうんだろう。

そしてそれは、俺がお前を思う限り、消えることはない。


それが、俺自身のためにお前を傷つけてきた俺への罰だ。


妹のお前を、愛してしまった罰。

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