I am me.
prologue
だんだん雨が降り出してきた。
だけれども目の前で泣いている彼女は泣くことをやめない。
「ごめんなさい」と言いたいのに声がでない。
駆け寄って抱きしめてあげたいのに足が震えて動けない。
しばらくして泣き顔がこっちを向いた。
そして私に何か言った。
あぁ、なんでこんな時に雨が降っていたんだろう。
声が聞こえないじゃないか。
もし声が聞こえたら私が思っている言葉と違うことを言ってくれていたのかもしれないのに。
そんなことはないのだろうと彼女の顔を見ればわかるが。
彼女の顔を見れば言葉なんか言わなくても何を言いたいのか分かった。
そんな顔で私を見ないで。
そんな私の意思を反面したのか、彼女の顔がだんだんぼやけていった。
雨の音だけが頭の中で反響する。
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