I am me.
咲良と昨日見たテレビのことで盛り上がりながら廊下を歩いていると前から来た男子にぶつかりそうになった。
「こらこらw前見なきゃダメでしょww」って通りすがりにからかってきた男子を睨もうと後ろを振り向いた瞬間、今度は誰かとぶつかった。
持っていた教科書をぶちまけてしまい大惨事だ。
「わっ!ごめんなさい!よそ見してて!」
前を向いた時にはその子は教科書を拾い始めていた。
「あ、いいですよ!自分で拾いますw」
って言ってもその子は顔を上げず無言で教科書を拾ってくれていた。
私がしゃがむのと同時に教科書を拾い終えた女の子(髪が長かったから分かった)は教科書を渡してくれた。
その時下を向いていて分からなかった相手の顔が見えた。
その顔を見た瞬間、一気に体温が下がるのがわかった。
教科書を受け取る手が震える。
「・・・・ありがとうございます。」
と、小さい声で言い、急いで立ち上がって歩き始めた。
咲良が「なんで急いでるの?」って言ってくるのを無視して急いで理科室へ向かう。
その姿を見ていた女の子はしばらくして美香達とは反対の方へ歩き出した。