エリート外科医の甘い独占愛
「の、野島さん?」
突然堪えていた涙が溢れて、伊崎先生は驚いた様に私の顔を覗きこんだ。
「すみません、僕が失礼なことをいったから」
「いえ、ちがうんです。ちがう――」
泣き止まない私を、伊崎先生はラウンジの片隅に連れて行ってくれた。
「落ち着くまでここに居ましょう」
そういって何も聞かず、温かいハーブティーを運んできてくれた。
透明で優しい、伊崎先生のようなその液体は、私の体に温かく浸みた。
それからしばらくして披露宴の準備が整い、皆がその扉に吸い込まれ消えて行った。