エリート外科医の甘い独占愛
「きれい。ありがとう。でも、どうせなら誕生日にもらいたかったな」
私がそう言うと、
「ごめん、汐。実はその日、会えなくなったんだ」
卓志は小さくつぶやいて、私の肩を抱き寄せる。
「ううん、いいの。仕事でしょ?ならしかたないもの」
私は自分に言い聞かせるようにいい、まるで本音を飲込むようにグラスに残ったワインを飲み干した。
私と卓志は同じ病院に勤務している。看護師である私は、医者である卓志の仕事を十分理解し尊敬していた。
勤務変更は当たり前で、急患や緊急手術が入れば駆けつける。予定していたことがつぶれるなんて事は日常茶飯事だったから。
そんな卓志を仕事でも、プライベートでも支えてあげられたらと思っていたから、私は聞き分けのいい女でいたいと、いつもそう思っていた。
だから、こうして笑顔を向ける。
「……卓志、愛してる」
「俺もだよ、汐。ずっと傍にいてほしい。たとえ、俺が別の女性と結婚しても」
瞬時には、卓志の言っている意味が理解できなくて。
「……え、どういうこと?」
そう聞き返した声が微かに震え、ドクン、と鼓動が大きく跳ねた。